長井坂熊野古道・大辺路 300m (2010.11.28)  地図

和歌山県すさみ町和深川−すさみ町見老津(みろうづ)
和歌山県すさみ町和深川と見老津の間にある熊野古道・大辺路(おおへち)の峠である。

タオの峠から下りてきて、和深川の谷を遡る。
和深川の谷を遡る(9:17)

看板の絵地図より
長井坂の地図


少し行くと、地図にも出てる和深川王子神社があった。名前から言ってもかつては王子だったわけで、当時の貴人たちは沐浴潔斎とかしたのだろう。私といえば神社脇にきれいなトイレがあったので写真休憩がてら利用したくらいだ。

和深川王子神社(9:27)
神社脇にトイレあり



その和深川王子神社から少し行くと小さな峠を越えるところがある。丸山の掘割である。和深川の谷は南の方を蛇行しているので、その間をショートカットする所なのである。そのため低いところを切り通しにしたり、紀勢本線が通るところは溝のように掘り下げてあるため掘割という名前になったのだろう。

丸山の掘割(9:33)
紀勢本線(9:33)



さらに進んで谷を詰めると、熊野古道和深川口と書かれた看板がかかる登り口が現れた。一度和深川まで下りて、橋を渡った対岸の山に登っていく。ここから見老津の谷口まで4.5km続く峠道だ。ここの看板には色んなことが書いてある。お正月に「弁当掛け松」に飲食物を掛けて「水絶ち、食い絶ち」の願掛けをして潮岬に参った話は面白い。そして「かつえ坂」の名も。

和深川口と書かれた看板がかかる登り口(9:38)
和深川まで下りて、橋を渡った対岸の山に登る(9:40)



そんな話を噛みしめながら峠の山道に入る。登り口には石畳が少しある。登っていくと紀勢本線がトンネルに入る地点の横でスイッチバックする。ちょうどオーシャンアローが出てきたところだった(最後の動画冒頭)。

登り口には石畳が少しある(9:46)
紀勢本線がトンネルに入る地点(9:46) スイッチバック地点(9:52)



道は斜面のトラバースとスイッチバックを繰り返して登る。簡単に言えばジグザグだが、そこまで頻繁ではないし、けっこう急勾配も多い。最後のスイッチバックが終わるところに標柱があった。

トラバースとスイッチバックを繰り返して登る(9:55) 急勾配も多い(10:05)
最後のスイッチバックが終わるところに標柱(10:08)



そしてあっけなく尾根筋に出た。25分ほどの登りだった。尾根筋は平坦でけっこう自転車にも乗れる。

尾根筋に出た(10:10)
尾根筋(10:12)



そして麓の案内看板にもあったように道の駅「イノブータンランド」へ降りる道との分岐点がすぐ現れた。ぱっと見、道幅も広かった。

道の駅へ降りる分岐点(10:13)



そして版築ばんちく、段築)が出てきた。麓の案内看板に書いてあったように分水嶺を石垣などで土手状に整備したもので古道の管理・整備上重要な形態であるのだ。この版築地形はもう一度出てくる。こういうところは山道で時々出てくるが体操の平行台みたいで怖面白いのだ(^^;) 2回とも動画には収録しておいた。その後もイノブタならぬイノシシにやられた路面がある凹んだ道とか

版築ばんちく、段築)の看板(10:20)
熊野古道・長井坂の版築(ばんちく、段築)
版築ばんちく、段築)(10:22)
イノシシにやられた凹んだ道(10:28)



さらに尾根筋を平行移動する。ところどころ海が見える。あれは地形から見て戎島や江須崎方面だろう。

尾根筋を平行移動(10:30) ところどころ海が見える(10:35)
戎島や江須崎方面(10:40) (10:42)



小さな島も時々見える。あれは沖ノ黒島か?こういうところに展望図を置いてくれると嬉しいんだけどな(^^;) 相変わらず道は尾根筋で平行台のような版築がまた登場した。切り通しのような場所を過ぎ、海岸線をまた望むと・・・

島も見える(10:43) 沖ノ黒島?(14:29)
相変わらず道は尾根筋(10:49) 版築がまた登場(10:51)
切り通しのような場所(10:52) 海岸線を望む(10:59)



少し石畳があるジグザグのスイッチバック降下点にさしかかった。ここからは下り道が続く。石畳の少し上の辺りで道普請をしている人たちがいた。日曜日なのにボランティアで出てきてるみたいだ。こういう人たちのおかげで私たちが遊ばせて貰えるわけで頭が下がる。もうすぐ車道に出る。久しぶりの車道である。フェンスに囲まれた建物と駐車スペースがあったので、昼食にした。まだ中腹地点なのだがここにも看板があった。どこかで見たことがあると思ったら県道225号大附(おおつき)見老津停車場線の峠、香ノ塔峠の峠道で過去に通ったことがあった。

ジグザグのスイッチバック降下点(11:02) 石畳の先で車道に出る(11:09)
この車道は香ノ塔峠の峠道だった(11:11)



あの時はパスハンで山装備もしてなかったのでパスしたが、こんな形で再訪するとは思わなかった。でもここまで山道は満腹しちゃったので、ここから先は県道を降りることにした。それでもここにあるものを確認していると、看板の類はともかく、石碑の文字が「みぎやまみち ひだりくまのみち」と読める。ということは、やはりここが茶屋の段だったのだ。あの「弁当掛け松」もここにあったのだ。そしてここから右へ降りていくのが本来の熊野古道なのだ。

看板の類(11:44) 石碑には
「みぎやまみち ひだりくまのみち」の文字が(11:44) 熊野古道は右へ(11:44)



しかし県道225号線を下ることに決めちゃったので、あっという間に見老津の谷口へ到着した。そこへ急勾配で熊野古道が降りてきていた。

県道225号線を下る(11:51) 見老津の谷口(11:55)


最後に長井坂の動画です。電車やら尾根筋やらいいとこだけ撮ってあります。

長井坂の動画



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