峠おやじホスピタル 更新 2018.11..18

★手の平ザックリ 
プロローグ
2003年11月22日(土)

信州にいる大学時代の友人が招待してくれたので、1年後輩2人と共に信州の温泉に泊まることになった。宿にチェックインしてから、近くにあるお寺を拝観した。そこは観光客も多い名刹であった。


アクシデント


お寺はしっとりとした佇まいで、珍しい建築物が階段を登った所にあった。下で写真を撮り、建物の裏手にある階段からも撮ろうとすると、建物がファインダーからはみ出していた(--;) そこで振り向いて階段を登ろうとした。ところが前日までの雨で下がぬかるみ、靴が滑った。とっさに手をついたが、そこには階段の土止めをしてあるL字型の金属杭があって、手の平をぱっくり切ってしまった。


応急処置


傷口はL字に10cmほど。魚を包丁でおろしかけた状態というか、蒲鉾を板から剥がしかけたような感じだ。血もタラタラと落ちたが、大量出血ではない。友人達がハンカチで包帯と止血をしてくれる。

これは救急車だな。友人に119を頼み、とにかく門まで下りることに。歩くのには支障がないのでスタスタ歩き出したら、「血が出ないよう、ゆっくり歩け」と友人が指示。路傍の人も「傷口を高くした方が出血が少ない」とかアドバイスをくれる。後輩「痛くないですか?」痛いといえば痛いのだけれど、何だか寒い。

山門まで下りてくると、救急車のサイレンが聞こえた。ううむ、生まれて2度目の救急車だ。救急車内で傷口をガーゼにチェンジ。救急隊員が事故の状況やケガの状態等を聞き取り調査。指も動くし、感覚もある。寒く感じるのは麻痺ではなく、外の気温が落ちてきているせいらしい(--;) とにかく病院へということで、友人ご推奨の所へ向かう。


洗浄・縫合

病院へ着いて、診察・問診。やはり神経など切れてないようで、異物がないかレントゲンも撮る。出血は引き続き少ない。先生も「よく神経が切れてなかったね」と言われるのが偽らざる感想のよう。

まずは洗浄。階段の土が傷口に入り込んでいるので「とにかくゴシゴシ洗え」が先生の指示。麻酔なし(~_~)の状態で消毒液?が入ったたらいの上に手を置いて、タワシ?でゴシゴシ洗われる。1杯では洗浄しきれなかったらしく、看護婦さんが追加の消毒液を作っている。消毒液にボォッと火をつけたところを見るとアルコールか?

洗浄が終わると麻酔注射。もちろん部分麻酔。私はこれがなかなか効かない。4本立て続けに打って、縫合にかかる。チクチクと縫ってるのはわかるよ。でもメチャ痛くはないので効いているのかな?でも「ウッ!」助手が「麻酔いいですか?」先生「4本打ったろ。もういいだろ」で、1針「ウッ、イタッ!」先生、慌てて「やっぱ、麻酔もう一本!ごめんね、神経生きてますね」。

縫合が終わると破傷風の注射と化膿止めの注射。そんな辺りで、今日お会いする約束をしていたD&Kさんから携帯に連絡が入る。なんと手術室から状況報告をする。マジ焦った。


入院・帰郷・転院


そのままオペした病院に入院。毎日化膿止めの点滴を2本打つ生活。椎間板ヘルニア以来の入院生活だったし、短期だったので、苦痛ではなかった。しかし左手1本の食事は辛かった。特に骨付きの焼き魚など左手で持ってかぶりつかねばならないのだ。

11月24日(月)
アチコチに連絡をかけ、当初火曜日に帰る予定であったのを1日早くして後輩に私の車ともども岐阜まで送ってもらった。

11月25日(火)
前日に連絡しておいた同窓の整形外科の先生のとこへ行った。やはり「神経切れてなくて良かった」という診立て。毎日通院してガーゼを替えて、化膿止め注射。見たところ15針ほど縫ってある。むくんでもいるし・・・

ケガ(赤いラインで切れた。甲まで達してた)


経過

11月26日(水)
昨日は入院中と違い、一日起きて右手を高くしていたら腕が痛くなってしまった。患部を高くしてないと血圧がかかって圧迫感があるからなあ・・・結局今週中は仕事は休むことにした。出ていっても何もできないもの。

11月29日(土)
事故後1週間経って、だいぶ楽にはなってきた。しかし、むくみはとれない。夜など寒くなってきて、左手は冷えてしまっても患部である右手は熱を持って暖かい。スズメバチに刺された時のようだ(--;) 

12月1日(月)
今日から出勤。皆さん、自転車で転けたと思ってらっしゃるみたい。トップからは「とにかくケガをするなんて自覚が足らない」と叱られた。むくみは少しづつ引きだした。親指だけは突っ張る感がある。

12月3日(水)
術後10日頃ということで、今日抜糸完了。抜糸したときはさすがに痛かったけれど、慣れてくると動かしやすいみたいだ。

書き忘れていたが、右手が不自由なことで最大の問題点は食事だった。ケガをした右手はお箸はもちろんのことスプーン・フォークも持てなかったし、器を押さえることもできなかった。だから食事も左手1本しか使えなかった。私の左手は器用とはいうものの野球などで役立つ程度でしかない。左手でお箸を使うのは到底無理。スプーン・フォークでも右手で器を押さえられないので、すくい取る技もうまくできない。残ったのは突き刺し技。これが一番有効だとわかった。

病院の入院食では箸は出てもスプーンは滅多に出てこない。もちろんフォークもないと言われた。そんなとき病院のお茶所で先割れスプーンを見つけた。そう、コンビニ食についてくるアレである。試してみるとこれがまことに都合がいい。突き刺すのは先割れ部分、汁物のすくい取りはスプーン部分という具合、おまけにプラスチックなので口当たりもいい。入院中はこの拾ってきた先割れスプーンのお世話になった。岐阜に帰ってからも家にあった同製品を愛用。職場にも持っていって重宝している。

リハビリ

12月5日(金)
今日は右手を風呂へ入れても良いとのこと。で、おそるおそる風呂に入った。いちおう傷口はしみない。2週間ぶりに湯につけたから、ふやけて垢がボロボロと(ー_ー) 指を動かしてみた。動きは渋いが何とか動く。ふやけて皮がむけてくるというか傷口が治りきってないような感じなのでまた包帯を巻いた。

12月12日(金)
事故後3週間近く。だんだん指も動くようになり、軽く字が書けたり、加算機をたたけたりできるようになった。でも力は入らないので箸は持てない。傷が深く、治す過程で組織などが固くなっているので、今日からリハビリをするとのこと。まずはジェット風呂のミニ版みたいなやつに手を入れて患部をほぐす。そして次にいわゆるマイクロウェーブ波?をあてて体の中から暖める。湯から出ると傷口の皮がふくらんで、気持ちが悪い。看護婦さんに皮を切除し、包帯を巻いて貰った。

リクエストにお答えして生写真
治療変更

12月20日(土)
右手をお風呂に浸けだしてから、むけだした皮膚がいつまでも傷口を覆ってくれない。リハビリもミニジェット風呂は止めて、マイクロウェーブとパルス(いわゆる電気)に変更となった。

12月22日(月)
ケガをしてから1ヶ月経つ。傷口の皮膚が覆ってこないからか、包帯はとれない。初めから全治1ヶ月と見ていたが、この分では年を越してからもしばらく続きそうである。これではマジで重傷としか言いようがなく、我ながらとまどっている。

12月24日(水)
傷口は塞がっているとの診断で、晴れて包帯を外すことになった。リハビリはミニジェット風呂と、マイクロウェーブに戻った。しかし、親指の付け根がまだ痛いので自転車の指切り手袋をはめることにした。手の保護にもなって我ながらグッドアイデアである(^^ゞ

何のこっちゃ?
最新状況

1月15日(木)
年を越す頃から傷口もかなりきれいになり、箸も手袋をはめた状態で使えるようになった。一時のことを思うと良く治ったものだ。しかし、えぐれた部分が固く盛り上がっていて、盛り上がった部分に触れると相当違和感がある。またフレキシブルさにも欠けている。主治医の診立ては「あと1ヶ月はかかるかなあ?」である。まだまだだ(ー_ー)

2月17日(火)

現在も週3回以上リハビリに通っている。
一度指切り手袋のことを主治医に聞いてみた。私の主張は以下である。
1.違和感を気にせず手を使える
2.保温・保湿になってリハビリ効果がある

「いいでしょう。はめないよりは効果あります」
あっさりとお墨付きが出た。よって仕事中もずっとしている(^^ゞ
今日の診察では
「患部もだいぶ柔らかくなったね。90%かな?」
もうちょっとである。

きれいに見えるが、まだまだである

6月4日(金)
事故から半年が過ぎ、違和感は少しあるものの機能的には事故前の99%、性能的には95%の回復度(大きく手を広げられないのと蓋を開けたりしにくい)である。それでも、これ以上は治らないと思われるし、医者も99.5点などと似たようなフィーリングのことを言っている。そのため病院にも殆ど行かなくなっている。先生から「卒業」宣告は貰えてないが、治ったようなものと考えている。

総括&反省

それにしてもこれだけの怪我をして100%近い回復をしたのは不幸中の幸いだ。
お寺ではあんなところに危険物を出しておくなよって、思ったよ。でも多くの観光客が来てる中で私だけが事故ったのは、私がそそっかしいからだろう。
だから ハンセイ☆ ̄(_._)  皆さんも気をつけてね。

それと信州の友人H氏、てきぱきとよくやってくれました。とても心強かった。またリベンジしに行かねばねえ。
後輩のS氏とO氏、せっかくの旅行なのに心配かけちゃった。岐阜まで送ってくれてありがとう。またご一緒しましょうね。
お会いする予定がお見舞いになってしまったD&Kさん、すみませんでした。またの機会に埋め合わせをします。

PS.お寺には事故経緯を告げ、施設改良ほか誠意ある対応をしてもらっています。

編集後記
ところで、ケガをした手の平の写真ですが、全て同じポーズをとってます。そう、金井克子の「他人の関係」です。



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