長良西の高低差 1

   (2021.6.14)  更新 2021.6.16   
毎年行われる長良橋の堤防陸閘(りっこう)の開閉訓練が行われた。今年度は町内会長だけでなく地区長も仰せつかっている身として、久しぶりに見学に行ってきた。

長良橋付近は堤防内河川敷に旅館街や鵜飼の鵜匠宅などの市街地があるため、その地域を囲んだ外堤防が造られている。しかし長良橋通りが外堤防を横切る地点は堤防より4mほど低く切り通してある。伊勢湾台風などではこの地点から越水し、長良西地域は床上浸水などの被害をこうむった。

そのため切り通し部に開閉式の陸閘を設置し、越水の危険性があるときは閉じるようにしている。
長良陸閘、閉め切った様子


  しかし、それなら堤防の陸閘付近と我々の住まう地区はどれほどの高低差があるのだろうか?陸閘の設置以来、洪水被害に遭ったことはないが、安八水害やゲリラ豪雨などで町内の道路の一部が冠水したことはある。その経験や地勢的にどこが低いか予測はつくが、実際に測ってみようと思った。土地の高さを測るツールはスマホのアプリ。

下の画像のような『スーパー地形』というGPS対応地形図アプリである。色んな機能が付いているが、その代表的なのが今いる場所の標高がわかることだ。

そこで実際に標高を測ってみた。この画像は長良陸閘の設置地点、堤防の切り通し部の道路で撮った画像である。標高20.49mであることがわかる。
 
このようにして地区内の色々な場所で標高を測ってみた。その数値を地図に落としたのが下の画像だ。
堤防から長良西小学校までの地点別標高地図


しかし数値だけではわかりにくいので、国土地理院の地図から断面図を作ってみた。まずは洪水を引き起こす長良橋通りのスロープを再現した断面図が下のものである。

長良川の標高が14.4m、堤防内河川敷の市街地は20m台。くだんの陸閘が20.5m、若竹町19.5m、織田町18.7m、養老町18mと低くなっていく。長良川の水位が陸閘地点の20.5mを越えれば各町内への浸水は免れなかったのだ。



次に東西の道路別に見てみよう。
まずは堤防の中段道路である岐阜県道163号・穂積合渡岐阜線〜鵜川町〜鷺山本通りをメモリアルセンター北信号までである。

県道163号線は陸閘付近から標高を保ちながら鵜川町信号交差点で分岐し、堤防に上がっていく。そこからは鵜川町、メモリアルセンター北へと標高が下がっていく。
次に若竹町と織田町を見てみよう。洪水になったとき真っ先に流れ込む若竹町。ベースの17m台になるまで長良橋通りとの標高差が2mあってスロープも長い。対して織田町はベースとの標高差が1mほど。そして両町とも長良郵便局西方の南北ラインが最も低い。この付近はゲリラ豪雨の時など道が冠水することもあるのだ。



養老町は西へ行くにしたがってコンスタントに低くなっていく。というのも、この町内は道の真ん中に暗渠があって、岐阜グランドホテル付近から鷺山保健局、正木を貫流して伊自良川にそそぐ1級河川「正木川」が流れているからだ。したがって排水機能を担っている養老町が一番低い位置にある。


松風町は1丁目は西へ行くにしたがってコンスタントに低くなる。ところが2丁目は長良西小学校付近が最も低くなっている。1955年に開校する前は大きな池だったそうだ。避難場所にはなっているものの、元はそういう場所であったことは認識しておいた方が良いだろう。
 



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