長楽館(館内)

    (2011.11.5〜6)   更新 2011.11.12 

この長楽館、かつて私たちが学生時代に利用したように喫茶店やレストランとして利用できます。それだけでも長楽館の魅力を垣間見ることはできますが、一部の部屋しか入ることはできません。

しかし宿泊者はくまなく案内してもらうことができます。右のようにレストランに使われているような洋風の重厚な部屋ばかりかと思ったら、本館最上階にはビックリするようなものがありました。
喫煙の間入り口にステンドグラスと長楽館の額があります



さて、人心地がついた私たちは宿泊者特権で長楽館の本館を案内してもらいました。そうそう、ここの由来がまだでした。

ここは明治のたばこ王・村井吉兵衛が建てた洋館です。門扉のところにも「村井吉兵衛展」の看板がありましたね。たばこの行商から成り上がった人で、下の写真にもあるように「PEACOCK」とか「HERO」のように横文字のネーミングとパッケージが売りでした。たばこ生産・販売で得た利益で建てたのがこの館で、ここを長楽館と命名した伊藤博文など政府の要人やロックフェラーなど外国の賓客も迎えた館だったそうです。
村井吉兵衛 「PEACOCK」「HERO」のコースター



まずは1F玄関脇にあるのが迎賓の間。日本に現存する洋館で唯一のロココ調なんだとか。当時は賓客の婦人たちの控えの間として利用されたそうで、壁には世界の有名地の風景画が飾ってありました。自由の女神くらいはわかりました。
迎賓の間 壁に飾られた世界の有名地の風景画



1Fの半地下のようになった場所にあるのが球戯の間。すなわちビリヤードをする部屋でした。今ではビリヤード台を取り除いて喫茶室にしてあります。ここもステンドグラスが多用してあり、なんとテーブルの真ん中にステンドグラスがはめ込まれ、テーブル下からライトで照らす凝りようでした(゚o゚) 桜とモミジですね。また壁には大理石の洗面台が設けられていました。ビリヤード場とはいえ室内にこういう施設があるのは極めて珍しいのではないでしょうか?
球戯の間 シャンデリアとステンドグラス
桜のステンドグラス モミジのステンドグラス
壁に大理石の洗面台 「PEACOCK」「HERO」のコースター



球戯の間の真向かいにあるのがサンルームです。昔は温室だったらしくカマボコ状の天井に造り替えられています。学生時代にコーヒーを飲んだのはここだったかもしれないです?

2Fの美術の間は仏像とかあったみたいですが、印象が薄いです。
サンルーム 美術の間



同じ2Fにある喫煙の間はテラスのある部屋で位置的には1Fの球戯の間の上に当たります。入り口の上には伊藤博文が揮毫した長楽館の扁額が飾られ、観音開きの扉にはめ込まれたステンドグラス(牧場の少女)とか窓のステンドグラス(城壁っぽい)がきれいです。装飾・調度は中華風にしてあるのでステンドグラスのひとつは万里の長城かもしれません。
喫煙の間入り口 シャンデリアとステンドグラス
暖炉など テラス



1・2F、レストランを除いた部屋はほかにもあるものの、良い写真もないのでこれまでにして、3Fに行ってみましょう。
左の写真をご覧下さい。

上の方です。障子が見えますでしょうか?そしてその前にはお寺やお宮さんなどに見られる手すりがありますね。そして墨書の額。なんと3Fはすべて和室になっているのです。

本格的な洋館なのに最上階だけ和室になっているのは長楽館くらいでしょう。ちなみに3Fは非公開で、現在開催中の「村井吉兵衛展」と宿泊者にのみ観覧可能とのことです。

ちなみにこの写真は球戯の間・喫煙の間の上にある長楽庵という茶室から眺めています。
3Fを見る



長楽庵は北向きの部屋で、円山公園に面していて、窓から見える屋根は祇園祭の山鉾のうちご町内に保管できないもの数台が入れてあるそうです。障子の外には木枠の窓。外は完璧な洋館ですから不思議な光景ですし、この窓にも趣があります。室内は違い棚的な上段の間があり、その前にある窓は船のような丸窓になっています。
長楽庵の上段の間 窓も趣があります
前にある障子を開けると 丸窓です



3Fのメインルームは御成の間(おなりのま)です。本格的な書院造りの和室になっています。広い床の間、お寺やお城などにある華頭窓の付いた付け書院、それに天井には付けることがなかなか許されない格天井(ごうてんじょう)が奢られ、和室としても超豪華です。この和室を利用して「村井吉兵衛展」の展示がなされていました。
御成の間 床の間、華頭窓
付け書院、ヒーローの看板 格天井(ごうてんじょう)
さて最後に食事です。ではメインのレストランに行くことにしましょう。



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