峠よもやま話

 2.峠の語源       更新 2003.8.26   


風伝峠(熊野古道) 「峠」という言葉の語源は何であろうか?色々な峠関係の書籍を読むと真っ先に載っている。

1.山の鞍部の撓(たわ)んでいる部分を「タワ」と表現し、それが「トウゲ」に転化した。
2.峠を越える人の幸運を祈る「手向け」の儀式や祈りを捧げる場所から「トウゲ」に転化した。   
代表的なものはこの2つである。日本の地名は地形や土地の状態に関係した命名法が多いため、私は1の「タワ」説が有力だと思う。
もともと日本語は表音語であった。ものごとや動作、地形などを指す音で表現していた。その表音語に中国から輸入された漢字を万葉がなのように当てはめたものが日本語の漢字表現形態である。

しかし「峠」は「山」を「上下」するという日本の造語として作り出された漢字である。よってその元になる表音語は何だろうと考えると、山の撓んだ所を指す「タワ」が正しいと思う。

和歌など文学作品にも出てくる「タムケ」。和歌には掛け言葉が多用されており、和歌の劇的な効果を演出するためにも、後世の研究者が神秘的な「タムケ」説を創り出したのではないかと考える。しかし和歌の世界で「タムケ」が出ていたということは、「タワ」は「タムケ」をする所でもあるので、両者が合体して「トウゲ」に転化したという合体説もそれはそれで説得力はある。
風伝峠
竜駒峠(島根、鳥取県境)
竜駒



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