後楽荘(建物・庭)

    (2011.1.22)   更新 2011.1.23 
地図

岐阜市本町にある料亭です。高校の同窓生たちと新年会で行きました。昨年の新年会を行ったのが皇族方が常宿にされていた萬照館でした。普通では行けないところでしたし、今年はそれに劣らぬ高級料亭・後楽荘ということでとても楽しみにして行って来ました。

後楽荘のHPによりますと、
江戸時代後期に初代・矢野嘉右衛門が蝋燭・油商として『伊勢嘉商店』を創業しました。岐阜奉行所の御用商人を務め、幕末には岐阜町の十人衆ともいわれました。明治後期に、風流人だった四代目によって茶席と庭園が築造されました。そしてその歴史を生かして料理旅館 後楽荘を始めたのが60年ほど前のことだそうです。ですから開業は昭和26年頃のようです。
格式高い門構え



実はこの門の前を毎朝通勤で通っていきます。門から中を覗くと、細かい玉砂利の先に白布に「後楽」と染め付けた暖簾がかかる玄関が見えます。でもその堂々たる門構えと白い暖簾に気圧されて今まで入ったことがありませんでした。今日は初めて入れるということで非常に興奮しております。玄関脇の手水石?と灯籠がステキです。でも入るときは気がつきませんでした。帰るときに後ろ髪を引かれるように目に入りました(^^ゞ
玄関前で記念写真(食後だけど逆光じゃないので・・・) 見送られて帰るとこだけど・・・
玄関脇の手水石?と灯籠



お店の解説にもあるように、ここはお庭と建物がメインです。そこでまずは建物とお庭を紹介してみましょう。
玄関から上がった先にこのような待ち合いコーナーがありました。寿の赤い扇に1月らしく花餅が良いですね。この待合いコーナーから外を見るとお庭が見えます。ちょうど待合いコーナーで建物が直角に分かれていて左側に続く建物と目の前の部屋が見えています。お庭には灯籠と手水鉢(ちょうずばち)のような鉢が置かれています。玄関先にも同じようなセットがありましたね。
待ち合いコーナー 庭が見えます
灯籠と手水鉢



そのまま左の建物の方へ廊下を歩いていくと、欄間のようなところに入れられた曇りガラスを見てハッとしました。曇りガラスには絵が描れています。絵柄は鵜飼ですね。そして鵜飼の先にあるものは山とトラス橋に見えませんか?鵜飼+山+トラス橋。こういう場所は少し前なら犬山でした。名鉄のパノラマカーと車が一緒に橋を渡っていくのは凄い光景でした。

でもこのガラスが作られたのは明治期もしくは昭和26年頃の岐阜市ですから、こういうロケーションは岐阜市の先代長良橋しかありえません。ここで1枚写真を紹介しましょう。昭和32年頃の写真で岐阜新聞から転載しました。左側が現在の長良橋、昭和30年にできました。そして右側の橋には路面電車(名鉄岐阜市内線)が通っています。しかもこの橋は車も通る鉄道併用橋でした。私はこの橋を覚えています。橋の路面には木の板が貼ってあり、自動車が通るたびにその板が跳ね上がって「ガタピシ」音を立てるため「シロホン橋」と呼ばれていました。後楽荘のガラス絵はこの先代長良橋かと思いました。

ところが調べてみると大変なことがわかりました。岐阜市歴史博物館にある写真です。「新橋越しに旧橋が見える」とあります。旧橋も同じようなトラス橋です。そしてこの解説によると先代の長良橋ができたのは大正4年のようです。岐阜市内線と高富線が連絡したのも大正4年ですから間違いありません。だとすると、後楽荘のガラス絵に描かれた橋は先々代長良橋の可能性もあるわけです。先代長良橋の橋脚は今も長良橋上流に残っています。では先々代長良橋はどこにかかっていたのでしょうか?(長良橋の移り変わり参照)おそらく現在の長良橋の場所だと思いますが謎です。ご存じの人は教えて欲しいです。
鵜飼+山+トラス橋が描かれた曇りガラス 新旧の長良橋



さて、昔のチンチン電車まで持ち出して脱線しました(^^ゞ

先ほどの左へ行った廊下を引き返し、待合いコーナーから今度は右へ行きます。すると大きなお茶部屋がありました。大きな部屋の隣には茶釜がしつらえられたお茶室もあります。にじり戸も付いた本格的なものです。また庭の向こうにも一戸建てのお茶室がありました。そして廊下をずっと進むと水道山や金華山の岐阜城が庭越しに見えるスポットがありました。
お茶室と庭 お茶室脇
お茶室 お茶室前の庭、向こうに見えるのは一戸建てのお茶室
水道山や金華山の岐阜城が庭越しに見えるスポット



私たちが食事をしたのは大人数でもあったので土蔵を改造した「燈くら」という部屋でした。何と読むのでしょう?「ともくら」ですかねえ?ウッディテイストで統一されたクラシカルな空間でした。また壁に飾られているのは「せんりょう」ですし、赤い木調のピアノの横に飾ってある花は「トサミズキ」だそうです。
「燈くら」入り口 本来の蔵の入り口とテーブル、ピアノとトサミズキ
せんりょうの実



階段を利用した陳列棚の横には綿の花。寒い冬場に工夫した飾り付けです。またこの階段下にはセンスの良い置物が配置してありました。窓辺に飾られた補助灯代わりの置物も渋くていい感じです。
綿の花と階段を利用した陳列棚 補助灯代わりの置物



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