薄氷の乗鞍
 
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  (2008.9.20)  更新 2008.9.21  地図
薄氷の乗鞍
これまでに乗鞍岳には自転車で7回登っている。

今回は前から自転車を教えてくれと言っていた同窓生に頼まれ、乗鞍に登ろうということになった。この同窓生というのが昨年焼岳に登った山の会の隊長である。

山登りの隊長ということで体力的には申し分ないが、自転車ツーリングは初めてなので一抹の不安はあった。








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今週は中国へ行くとばかり思っていた台風13号が反転して週末にかけて日本へ来襲した。そのため土曜日に予定していたアタックを日曜日に変えた。しかし前日の予報を見ていたら土曜日の降水確率は朝6時までが20%・午前中10%・午後30%。そして日曜日が40%ということだった。

山は天気が命である。そこで日曜日の予定にしていたのを急遽土曜日に行くことに変更した。

そんなわけで平湯峠まで行き、車を置いて自転車に乗り換える。世の中には同じ考えの人がいて、私たちの目前に3人が到着して良さげなロードレーサーの準備をしだした。
3人のローディ




平湯峠は平湯トンネルがなかった頃には高山から奥飛騨温泉郷へ行くときに越えねばならない関門だった。そしてここから乗鞍岳へ登る中継点でもあったので峠の茶屋的なドライブインがあって随分栄えた場所だった。それがトンネルができてから乗鞍へ行く車だけしか通らなくなり、ついに廃業したのである。

その廃墟はけっこう広いので、乗鞍スカイラインがマイカー乗り入れ禁止になった翌年2004年から乗鞍スカイライン・サイクルヒルクライム大会のスタート地点になっているほどだ。このサイトに書いてあるとおり、標高1,684mの平湯峠から標高2,702mの畳平までの全長14.4kmを登るのである。
1,684mの看板 平湯峠駐車場(廃業したドライブイン)




今回は山の会の隊長と行くので想定時間を3時間と見積もった。標高差約1000m登るのであるから、だいたい300m刻みで休憩を入れる予定にして10時スタート。はじめのうち自転車とヒルクライムに慣れない隊長は調子が出なかった。
準備中(10:01) ところどころに片側交互通行区間がある(10:13)




1回目の休憩は夫婦松駐車場1950m地点。2回目が2230m地点。ここらまでは私の方が調子が良かった。ところがガスってきて3回目の休憩ポイント2540m地点(烏帽子岳直下)まで着くと下の動画のように私の「はあはあ」がきつくなった。
2回目の休憩地点(11:05) ガスってきた(12:01)
第3休憩地点(烏帽子岳直下、2540m地点)




そして再スタート。標高2600mの桔梗ヶ原まで上がると私ゃ頭が痛くなってきた。そして左右に蛇行するようになった。ペダリングしていてもフラフラする。やむなく自主休憩し、隊長には先行してもらった。あとで隊長に話すと高山病だろうという。

思い起こせば去年焼岳に登ったときも最後の岩頭付近でフラフラになってしまった。ちょうど2200m付近だった。うーむ、やはり高山病かもしれない。私ゃ人が密集する会議とか屋内の集会などでは途中で頭がボーッとして酸欠状態になる。心肺機能がというか酸素不足に弱い体質かもしれない?

そんなんこんなでも畳平には12時30分に到着できた。2時間半。まあまあである。そこにいた外人さんが「bike?」と聞いてきた。隊長が「yes」と答える。外人さん「crazy」とか言っている。私ゃ、crazyよりbikeに反応。やっぱbikeといえば自転車のことと胸を張る。その畳平で持参の昼食をとっていると雨が落ちてきた。あわてて乗鞍神社の社務所・階段下に避難。

社務所の階段下に避難




寒いのと下りに備えて雨具を着込む。そこへむきむきファッションのローディ・カップルが到着。少し降られたらしい。「寒い寒い」とそのまま階段下の喫茶店へ飛び込む。数分後にまた別のローディ・カップルが隣の売店へ飛び込んでいった。周りはホワイトアウト。「雷注意報発令中で登山しないように」のアナウンスもかかる。
むきむきファッションのローディ・カップル 速攻で喫茶店へ飛び込んだ




雨は一度やみかけたが、また降ってきた。「どうしよう?」待っていても体が冷えてくる。「雨の間を見つけて下るしかない」ということでガスが切れて小やみになったタイミングで下り出した。

でも少し下ると、またホワイトアウトになってしまった。センターラインと路肩のラインがぼんやり見える程度である。ふつうなら3〜50kmぐらいのスピードで下るのだが、スピードを出すと転倒や転落の危険性が高いし、周りが相当寒いので、ブレーキをかける指や腕もブルブル震え自転車も安定しない。登ってくるシャトルバスの灯りが直前にならないとわからないし、相当怖かった。そんな五里霧中のなか休んだ場所をひとつひとつ確認しながら下った。
平湯峠は晴れていた
平湯峠間近になってやっと視界が開けてきた。峠は不思議と晴れていた。自転車を撤収して車で下る際もまた雨が落ちてきた。それでも下界に下りるとやたら晴れていた。岐阜市でもずっと天気だったそうだ。でも山では予報どおり午後になったとたん雨になったし、翌日の日曜日は朝から岐阜西濃・中濃地区は大雨洪水警報が出るほど降っている。土曜日に登っておいて良かったわ。




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