降路坂(ごうろざか) 石見銀山 420m (2004.11.4、2008.4.19) 地図 

島根県大田市大森町銀山−大田市温泉津町ゆのつちょう西田
島根県大田市大森町銀山と温泉津町西田の間にある銀山街道の峠である。出典は「定本・島根県の歴史街道」池橋達雄監修からである。

なお、レポートは石見銀山が世界遺産に指定される前の2004年11月4日と、指定以後の2008年4月19日に訪れたときのものとを合体して作っているため、現在ではあり得ない行動も含まれているので注意して読んでほしい。


銀山街道
温泉津−清水−西田−降路坂−大森
大森の町中



銀山の幕府直轄地として栄えた当時の風情をよく残す大森の町並みを散策。最奥にある銀山公園駐車場に車を入れ、自転車でアプローチを開始する。銀山川に沿って遡っていく。

石見銀山の間歩(まぶ=坑道のこと)のうち代官所直営であった龍源寺(りゅうげんじ)間歩が近づいてくる。
銀山公園駐車場付近 (6:37) 銀山川に沿って遡る
龍源寺間歩の看板 銀山街道標柱



龍源寺間歩は大久保間歩に次いで坑道が長く、江戸時代の開掘長は600mあったそうだ。今では公開部分の156mと通り抜けのために掘った116mとが公開されている。朝9時頃に龍源寺間歩に入った。
龍源寺間歩
坑道内部
江戸時代の本坑跡
入り口から156m地点。ここから38m入ることができるが、
最奥部196m地点で岩石落盤のため通行止めにしている。
江戸時代の本坑跡



坑道内部は頭を打つこともなく(自転車のヘルメットをかぶっているので問題はないが・・・)、9時半頃に出口に出た。再度入り口側に戻り、峠を目指した。
9時半頃に出口に出た 再度入り口側に戻る




坂根口番所跡まで来る。番所は人の出入りの監視と銀山への搬入物資に課税徴収の仕事をしていた所である。そしてここは石見中通り往還との分岐点になっていた。どちらの道も草付きのダート道である。備えられた案内板には「峠までの標高差200m、1.5km 1時間半 路線パスなし」とあった。

少しだけ峠道に入ってみた。しかし山道にクリートが付いたビンディングシューズでは歯が立たないことはわかりきっていたので、少しだけ走ってすぐに撤退した。
石見中通り往還(いわみなかどおりおうかん)
太田−才ノ峠−大森
(岩見銀山)−大代−三原−谷住郷−船坂峠−追原−久佐−上来原−長安本郷−津茂−波田−日原−津和野
坂根口番所跡(左へ行くと石見中通り往還、右へ行くと降路坂)






そして雌伏4年(^^;) 2008年4月19日。ついにリベンジのときがやってきた。

前回と違い、雨に備えたゴア装備も全身整えてきた。しかし前半2日間はずっと雨。降路坂アタック計画も雨天順延で前夜に石見銀山入りして、好天を待つ。

朝いちアタック計画も空とのにらみあいである。雨が強くなり、アタックをあきらめかけて撤収を考えたはじめた6時30分。雨が小やみになった。

全身ゴア装備



鳥取県など大雨洪水注意報も出ていたから、途中で大降りになったらいつでも止める覚悟でスタート。そして坂根口番所跡までやってきた。「峠までの標高差200m、1.5km 1時間半 路線パスなし」の看板を再確認。
坂根口番所跡の案内板(7:01)



峠道に入る。はじめは乗っていけるが、すぐに押し一徹になる。砂防ダム前で橋を渡る。峠まで1.1km地点である。
銀山公園駐車場付近(7:10) 銀山川に沿って遡る



そこから川沿いの急斜面をトラバースしながら進む。広くなったところで1回目の渡河作戦。ゴアテックスのビブラム靴といえども底は良く滑るので自転車を杖代わりにして渡る。
急斜面のトラバース 1回目の渡河地点(7:13)



濡れた山道を登っていく。幸い雨は大したことはない。そうこうするうちに2回目の渡河地点現る。そのあと3回目の渡河地点は滝があって良い景色なのだが、真ん中の飛び石が増水で水没している。これは飛び越すか水中歩行しかない。私ゃ、自転車付きなので水中渡河作戦を選択。ゴア靴なので水に入ってもノープロブレムなのだv(^^) 
2回目の渡河地点 (7:17) 滝の渡河地点



かなり登ったところで劇坂になっている木の架け橋があった。橋上の板には滑り止めの横木が並べてある。それでも雨天で滑りやすくヒヤヒヤしながら登った。岩場の階段あたりから道はジグザグの階段ツヅラ折れになった。
架け橋(7:30) 岩場の階段(7:34)



階段道を登っていくと要害山うんぬんという看板が出てきた。GPSデータからは357m地点である。ここから登山道があるのだろうか・・・さらに階段道を登ると、また架け橋が出てきた。GPSデータからは380m地点かと思われる。
要害山の看板地点 (7:36)
最後の架け橋 (7:40)



そして道が平らになった所に大岩があった。大岩の向こうには石のベンチがいくつかあって、これはいい休憩ポイントと思ったら、そこが峠だった。坂根口番所跡から1時間半と書いてあったが、約1時間で登りきった。自転車付きでこのタイムはちょっぴり自信がつく(^^;)
道にある大岩 (7:51) 峠だ(7:52)
降路坂
降路坂(7:54)



峠にある案内地図によると、ここは中国自然歩道・石見銀山街道コース・温泉津沖泊道で峠には茶店があったようである。しかし、それ以上に注目したのは温泉津側の麓に五老橋(ごろうばし)があることだ。そしてそこにある川は五老川だった。この五老「ごろう」とは何であろうか?

北アルプスの野口五郎岳・黒部五郎岳などもそうなのだが、「ごろう」とは・・・石や岩がゴロゴロしている様子をいう。箱根の強羅(ごうら)も同じ命名である。つまり五老川とは石や岩がゴロゴロしている川という意味なのだ。だからその上流にある峠も「ゴウロ」坂なのである。よって降路坂を単純に「こうろさか」と読んだら何もわからなくなる。

このように日本の地名は漢字の字面で解釈してはいけないことがここでも証明できるのである。
峠の看板 拡大図
銀山道の看板 温泉津側



車は銀山公園の駐車場なので、同じ道を戻った。

いちおうGPSでログを取っておいた。地図ではわからないクネクネ度がわかるというものである。
GPSログ


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