二重峠(ふたえだわ)  99m (2008.4.17) 地図 

鳥取県南部町(なんぶちょう)猪小路いのこうじ−島根県安来市(やすぎし伯太町東母里はくたちょうひがしもり
鳥取県南部町猪小路と島根県安来市伯太町東母里との間にある母里法勝寺往還(もりほっしょうじおうかん)の峠である。出典は「定本・島根県の歴史街道」池橋達雄監修からである。

いよいよ、ここで国境(県境)となる。石高1万石の母里藩の玄関口にあたるこの峠には番所があって、道には石畳も敷かれていたという。梅ヶ峠から降りてきて県道1号線に入ってすぐの所に写真のような峠入り口がある。


母里法勝寺往還
安来−母里−二重峠−梅ヶ峠−法勝寺−金山峠−二部
鳥取県側の入り口(10:14)



峠道は山裾に沿ってゆったりとしたカーブを描いている。それもそのはず。ここには米子と母里を結ぶ伯陽電鉄(はくようでんてつ)母里支線が走っていたのだそうだ。その運行期間は昭和5年から19年。たった14年間だったが、峠下にはトンネルが残っているという。

道は草付き道。生い茂る笹が道を狭くしている。それでも勾配がゆるいので、自転車を押してゆっくりと進んだ。
笹が道を狭くしている(10:16)



すぐに前方にトンネルが見えてきた。手前に峠へ登る道があったが、行く手は草木に阻まれて廃道の域に達していた。

二重峠(ふたえだわ)の廃線跡トンネル
トンネルと峠道(10:17)



戦中に廃止されて60年以上経っているわりにトンネルの状態は良いように思う。ただ、さほど長くもないトンネルなのに向こうが見えないので、中で落盤していると思われる。ここで探索を打ち切り、島根県側へと移る。

伯陽電鉄母里支線の二重峠隧道



島根県側に移り、東母里の入り口は溜め池の横にあった。しかし廃線跡はもう少し上を通っていた。母里法勝寺往還もそうだったかどうかはわからない・・・

東母里側の入り口(10:36)



道を奥へ進む。左から廃線跡が合流してきた所に土管のようなものが置いてあった。その先には廃車の放置プレイである。窓は割れ、車内にはこれでもかというくらいゴミが溜まっていた。いい加減こういうことは止めて貰いたい(ー_ー) 

東母里側の入り口(10:38) 廃車の放置プレイ



廃車の先にはきけんと書かれた旗があった。こんなもん、既製品があるのかなあ?わざわざ作ったのかなあ?そして遙か先にはうっすらとトンネルが見えてきた・・・望遠側で撮影してみると、藪に遮られた陰に何か見えた。

「きけん」の旗(10:39) うっすらとトンネルが見えてきた



看板だ!ここにもきけんの文字がある。その看板の脇をすり抜けて、さらに進んだ。
「ゲコゲコ」
トンネルを護るかのように何かの声が響いた。雨の中で聞くと気持ち悪い。これが「ブンブン」だったら熊より怖いスズメバチということで慌てて逃げるのだが、おそらくカエルだろうからそのまま進んだ。足元はズブズブと柔らかい。

「きけん」の旗(10:40) うっすらとトンネルが見えてきた



ぬかるんだダブルトラックをトンネル前まで辿った。やはりトンネルの向こう側は見えない。中で崩れているとしか思えない。昭和5年から数えても80才に近いわけだから仕方ないよね。

峠のてっぺんにも行ってないけど、遺跡群発見したってことで、峠をゲットしたことにしておこう(^^ゞ


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