あたらしや

              2006.11.18 更新 2006.11.23  
うちの両親は新婚旅行のとき金沢を訪れた。そのとき泊まったのが、金沢の湯涌温泉だった。昭和27年当時、湯涌に旅館はひとつしかなかったそうだが、後に行ってもどこの旅館かわからなかったという。

息子も最終学年を迎え、金沢へ行けるのもあとわずかというタイミングなので母を連れて親孝行がてら、湯涌温泉に泊まってみることにした。



準備編
さて、湯涌温泉へ行くのはいいけれど、お泊まりとなると予約せねばならない。湯涌温泉観光協会のサイトからそれぞれの旅館のサイトへ行き、ネット予約できるところへ予約を入れてみた。
「その日は一杯で申し訳ありません」
お断りのお返事メールが来た。次のところも同じで観光協会の電話を紹介された。
仕方ないのでダメ元であたらしやさんに電話してみた。
「うーん、その日は・・・」一瞬の間を置いたのち「よろしいですよ」
良かったぁ!


本編
紅葉もしてるこの時季、昼間走るのは下道でないと勿体ない。で、国道156号線で長良川を遡り、白鳥から九頭竜へ。九頭竜湖の湖畔は静かで紅葉もそこそこだった。さらに大野・勝山から谷峠を越える。雪をかぶった白山が神々しかった。
九頭竜湖 雪をかぶった白山



近江町市場
今年のGWに訪れた際、酷評した金沢の食堂であるが、慰安旅行などで食べた兼六園前の食堂は美味しかった覚え(※)がある。そんな金沢であるから挽回の機会を与えてあげねばなるまい。
※食堂の従業員が運んできた味噌汁をこぼし、当時の同僚のスカートを汚してしまった。兼六園に入る前だったので、幹事さんが食堂に猛抗議した。そして代わりのスカートを用意させ、観光が終わるまでにクリーニングしてもらった。なんてことがあったなあ・・・当時の同僚ってのも今じゃ出世してしまったけど。
そこで近江町市場にある食堂に入ることにした。
遅めに行けば大丈夫だろうとお目当ての店に行くと、13時半というのに長蛇の列。呆れてモノが言えない。仕方ないので隣の海鮮丼屋に行ってみた。それでも1パーティ待ちだった。何なんだろうねえ、この人気は・・・

遅い昼食にありつけたのは14時20分。寿司飯に刺身が乗っかっただけの代物だが、だし醤油が美味しかった。せっかくここまで来たから地元の魚のどぐろを注文した。「なんだろうね、のどぐろって?」わけもわからずに注文しているのである(^^ゞ 「瀬川映子がCMやってる・・・のどぐろちゃんくらいしか想い浮かばないよね(^o^)」

出てきたのを見ると鯛のようなお魚だった。それなりに美味しかったが、これで1500円はボリすぎだな。近江町市場では同じ値段で7・8匹入りを売ってたからね(ー_ー)
海鮮丼 のどぐろ



夢二館
湯涌温泉の宿へ着いて、少し時間があったので、周辺散策に出かけた。温泉街の中に竹久夢二の記念館が建っていた。夢二が大正6年に、恋人の彦乃と湯涌温泉に3週間滞在したことにちなんで建設されたという。

金沢から夢二たちが人力車に揺られて到着した湯涌温泉には当時「新家(あたらしや)」「かどや」「山下旅館」という3軒の宿屋があっただけらしい。そうだったのか!偶然とはいえ老舗中の老舗に泊まることになるとは嬉しいことだ。
金沢湯涌夢二館 竹久夢二像
大正当時の写真、左側が「新家(あたらしや)」奥が「かどや」右が「山下旅館」(あたらしやの当時の館主撮影)



湯涌温泉
湯涌温泉は入り口の案内看板によると大正時代にドイツで開かれた万国鉱泉博覧会で「世界三大名泉」と折り紙がつけられたそうだ。案内看板から橋を渡ると屋根付きの足湯があった。足湯には珍しい木製の湯槽で元は水飲み場で使われていたのではないかと思えるほど浅い作りで、湯もぬるめだった。
入り口の足湯 温泉風景



あたらしや
お宿は紹介したように老舗中の老舗?あたらしやである。駐車場に車を入れて玄関へ歩く。いまどきには珍しい平屋である。玄関では一対のタヌキがお出迎え(^^;) でも格子戸は自動で開いた。
玄関への入り口 玄関



簡素なフロントで受付を済ませ、廊下を進む。お皿などが陳列され、行灯に照らされている。突き当たりには手水鉢などといった前景を通して外光が入ってくる。建物は新しいのだが、随所に和のテイストが盛り込まれ、落ち着いた館内になっている。

そんな館内を進む。くねくねと何度か曲がった一番奥に私たちが泊まる部屋があった。手前には美術品の陳列ケースがあり、その奥が部屋の入り口である。ここからも外が見えるようになっていて、色々とお客を楽しませる工夫がなされている。
玄関への入り口 玄関
美術品の陳列ケース 部屋の入り口にたどり着く



お部屋
お部屋はふつうの造りである。窓はそれぞれの部屋にあり、見える風景は造作中の建物だったり、どっかの倉庫だったりで芳しくはないが、それぞれのお庭がとても良くできている。洗面もきれいだし、トイレもウォッシャブル。これだけでも痔主さまの私は及第点をあげたくなってしまう(^^ゞ
掛け軸もシンプルでグッド。図柄は母が気がついたが、「寿の湯(ことぶきのゆ)」だよね。
お部屋 窓越しの風景
入り口・トイレ・洗面 掛け軸は「寿の湯」



ウェルカム茶菓
さて、旅館の常、ウェルカム茶菓である。
もちろんお茶の用意はある。でもウェルカム茶は昆布茶であった。昆布茶といってもそぼろ昆布や粉末の昆布茶ではなく、昆布の佃煮が入っている。こんなのは初めてである(゚o゚)

またお茶菓子は柚子きんつばだった。柚子の風味を生かした甘すぎないきんつばで、好きずきとはいうものの粒餡のきんつばよりよほど美味しかった。
昆布茶? お茶菓子
柚子きんつば



お風呂
お風呂は2階にある。しかし男性用の露天風呂だけは敷地不足とかで1階にあった。つまり男性はいっぺんに内湯と露天風呂に入れないのだ。こういった女性優先傾向は最近の温泉事情を表しているのだろう。お風呂が別々であるせいか、いつ見ても露天風呂の更衣室には履き物が見えない。私ゃ3回すべて貸し切りだった。館内はもちろん満室だし、夜遅くに入った内湯がよそのグループと一緒だったのにである。

露天風呂の更衣室は服入れの駕籠が2列3段あるだけの小さなもの。
お風呂に入ると、石をくり抜いて作った掛け湯の鉢が置いてある。湯は使ってもすぐに湧き出し、鉢から溢れた湯は浴槽へと流れ込むようになっている。

この露天風呂は2〜3人が一緒に入れる大きさである。洗い場も2人分。それでもこの狭いスペースで洗い場まで確保してあるのは立派なものである。露天風呂の奥からは響いた音が聞こえてくる。男女風呂からである。こちらは貸し切り状態だから、お気楽極楽だ。
更衣室入り口 更衣室 手前に掛け湯の鉢
洗い場と露天風呂

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