夜昼峠  300m (2007.4.21) 地図

愛媛県大洲市(おおずし)平野町野田夜昼−八幡浜市川之内滝
愛媛県大洲市平野町野田と八幡浜市川之内の間にある国道197号線の旧道峠である。まずは、なんといっても夜昼などという珍妙なネーミングから入らねばならないだろう。

角川の地名辞典によると「未明に麓を出発し,峠で夜が明けた」ほどの難所であったからと記されている。はっきり言って漢字の字面にだまされたこじつけである。

たしかに旧国道の距離は20kmほどと長いけれど、車道でなく昔の山道?ならもっと短かっただろう。標高差で270m、直線距離3km程度の行程は私の住んでる岐阜市の金華山登山とあまり変わらない。

それなら1〜2時間で登れる。それに未明に出発して頂上で夜明けなんて富士登山に限らず常識の範囲内である。その程度で夜昼なんて大層なネーミングをするはずがない。

また「一昼夜」かかるという言い方はあっても、「夜昼」なんて言い方はしない。それも言うなら「夜を昼になす(夜を日に継ぐ)」とか「昼夜兼行」である。

となると中腹にある夜昼集落の存在がクローズアップされる。我が国の峠名の8割は地名から取られているという。そのため夜昼集落が謎解きのポイントになる。

それなら大洲と八幡浜の地形がもたらす霧が「寄る引く」を語源だとする地元サイクリストの説も非常に説得力が出てくる。もっともこれを「よひる」と読むのならば、表す意味も違ってくるかもしれない。
国道197号線現道の夜昼隧道
2006年に松山市付近で見た、霧が「寄る引く」図



大洲市平野町野田から峠を見る。
峠の鞍部が確認できる。
国道がゆるやかに左カーブするのに対し、
旧国道は正面の小山との鞍部へ向かう



旧道は予讃線のガード下をくぐり、矢の地のヘアピンを曲がる。
旧道は小山との鞍部ではなく、小山を巻いて登る
ずっと先のヘアピン

夜昼の集落付近も過ぎ、かなり登ったところにあった集落



峠近くまで来ると林道・夜昼滝の宮線が合流してきた。 岩場を削ったヘアピンを曲がったところ



あと少し登ったところが峠であった。

真ん中のコンクリート部分をのぞけば、
ほとんどが石垣を積んだ切り通しだった。
切り通しを抜けると、廃屋があった。手前には養生中の杉もあるし、手が入っている印象である。
実際少し下ると、すぐ人家が出てきた。この旧国道、まだまだ現役である。



峠から下りはじめてすぐ。ゆるやかにカーブを切ったかと思うと
突然トンネルが現れた。なんとここはループ隧道になっていた。
隧道上にある電信柱が道の位置を示している。
そう、ここ千賀居隧道はミニマムクラスのループであった。
ループ隧道からほんの目と鼻の先からは、もう海が見える
ず〜ぅぅっと、拡大していくと・・・


これから下りていく旧国道や、夜昼隧道を出てきた現国道、さらに八幡浜の海が見えた。



川之内あたりから振り返る。滝山の集落や現国道が見える。 上郷の集落で郷峠へ行く道と分岐する



上郷付近からの眺望。予讃線も加わり、
八幡浜へまっしぐらという感じである。
少し行って振り返ると予讃線のガードなどが見える

上の写真で見下ろした辺り(現国道)から旧国道を眺めた写真。

現国道と合流する。でも本当の合流場所はもう少し先というか下に行った学校付近にあったようだ。せっかちな私は早く現国道に出過ぎたみたいだ(^^;)
現国道に出た。

郷峠