熊本県芦北町田浦町−八代市二見赤松町
宮崎県日南市北郷町山仮屋と北河内との間にある旧飫肥街道(おびかいどう)、県道27号・宮崎北郷線の峠である。県道27号線の峠は一般的に南から椿山峠(343m)と鏡洲峠(55m)である。しかし、最高点(358m)は別にある。それが明治時代に煉瓦造りのトンネルができた山仮屋峠である(参考文書)。 大戸野越から下りてきた北郷町北河内谷合の県道28号線と27号線の分岐から登りだす。分岐といっても写真で見るように、27号線の入り口がチョー狭く、いきなり登っている。それに木々が覆い被さって暗いから、とても不気味だ。おまけに雨で木々は垂れ下がり暗さも倍加している。 さすがの私もこの入り口では逡巡した。5分か10分か踏ん切りがつかないまま佇んでいるところへ1台の車が下りてきた。女性が乗っていた。その車は目の前で切り返し、28号線に入っていった。それを見て決めた。行こう! |
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県道28号線(左)と県道27号線(右)の分岐 |
案ずるより産むが安し。入ってしまうと道も案外広く、恐れるような道ではなかった。民家も点在しているし、なだらかな登りである。見晴らしの良いところもあった。
道は案外広い | 民家も点在 |
見晴らしの良いところ |
しかし、やはりというか、雨模様の旧街道は暗い。そんな山間を延々と辿っていくと、県道の標識に「山仮屋」の文字が現れた。山仮屋、峠手前の集落である。
この山仮屋という名称、目にしたことがあるのは女優の本仮屋ユイカくらいだ。彼女のプロフィールを見ると「本仮屋」は薩摩藩における代官所の意(「仮屋」とも言う)とある。冒頭の参考文書にも、旧飫肥街道が参勤交代の道だったとか、峠付近に関所があったとか書いてあるので「山仮屋」とは山の代官所とか関所というような意味であろう。そしてここから流れ下る川は山仮屋川だし、少し下には字こそ違え元仮屋という地名もあってとても興味深い。
雨模様の旧街道は暗い | |
山仮屋 | 山仮屋の集落 |
さらに峠道を辿る。道の最高点という意識はあった。単なる切り通しというか、単なる最高点という雰囲気だけなので峠とは思わなかった。念のために写真を撮っただけでも奇跡だから自転車とのツーショットはない(ToT) 山仮屋隧道の看板も見つけなければ通り過ぎてしまいそうな位置にあったしね。
山仮屋峠 | |
山仮屋隧道の看板 |
そして山仮屋隧道である。煉瓦造りの堂々とした明治の産業遺構である。煉瓦造りのトンネルは天城隧道とか笹子隧道とか全国に色々残っているけど、ここもいいね。馬蹄形の入り口なんかグッと来る。トンネルだといつもやるトンネル内部から写すいつものセレモニーをやらなかったのが返す返すも惜しまれる。やはり雨で気が急いていたからだろうか?
山仮屋隧道の看板 | |
山仮屋隧道 |
峠から下る。下りきった所が宮崎市の境界である。隣の大戸野越は峠が境界だが、ここは加江田川上流の家一郷谷が境界線になっている。ちなみにここは宮崎市界橋(さかいばし)だそうだ。そのまんまやん。
峠から下る | 宮崎市との境界 |
椿山森林公園・椿山キャンプ場の看板 | 宮崎市境橋の標識 |