枝折峠(しおりとうげ) 1065m (2014.9.12) 地図 2.5万図

新潟県魚沼市上折立大湯温泉-宇津野銀山平

新潟県魚沼市上折立大湯温泉と宇津野銀山平の間にある国道352号線の峠である。上記地図でもわかるように奥只見ダムへの峠道(長大トンネルでのアクセス路は麓同士を結ぶ県道50号線)である。

関越道小出から下りた魚沼市吉田の信号から国道352号線に入る。尾瀬の看板も出ている。確かに只見川の源流部は尾瀬だから方向的に間違いではない。通行可能かどうかとは別問題だからだ。

魚沼市吉田から国道352号線へ



国道352号線をしばらく進む。折立温泉を過ぎ、上折立まで来ると、奥只見ダムへのトンネルでのアクセス路、県道50号線が分岐する。国道352号線は大湯温泉・枝折峠へ向かう。

国道352号線 分岐が近い
県道50号線との分岐


国道をそのまま進む。まもなく大湯温泉。けっこう立派なホテルなどが建ち並んでいる。さらに進むと奥只見レクリエーション都市公園がある。魚沼市吉田の信号付近斜に道の駅「ゆのたに」もあったのに豪華なことである。たぶん大湯温泉スキー場と温泉施設への駐車場対策としか考えられない。栃尾又への分岐が終わると、山中に入る感が強くなる。

大湯温泉 奥只見レクリエーション都市公園
栃尾又への分岐



大湯を過ぎ、大湯スノーシェッドの辺りから一車線路になる。銀嶽橋を渡ったところに超長い赤白ボーダーの雪道ポールが立ててあった。ひょっとすると、短時間豪雨のときはこれで通行止めの柵代わりにするのではと思える長さだった。ランプの湯「駒の湯温泉」への分岐を過ぎる。温泉はさらに沢筋を2km入る。駒の湯温泉との分岐に連続雨量80ミリで通行止めにする看板が出ていた。国道は沢筋を離れて山腹に取り付く。

大湯スノーシェッド 銀嶽橋
駒の湯温泉への分岐



峠道はかなりの急勾配だ。案の定、ヘアピンカーブの連続である。容易にカメラに納まってしまうから。曲がり方も半端ではない。ヘアピンカーブは大好きだから苦にはならないし、高度もドンドン上がっていく。

ヘアピン ヘアピン
ヘアピン



かなり高みへ登り、連続スノーシェッドなどが現れる。標高は1000mちょっとなのに。えらく険しい。道の細さも相まっているのかなあ?南越後観光バスの「駄尾」停留所があった。たぶん「だお」と読むのだろう。「だお」とか「たお」は「撓む(たわむ)」の転で、山が撓んだ所、すなわち峠のことである。西国では峠名にも良く用いられている。

連続スノーシェッド
「駄尾」停留所



そして、いよいよ大詰め。長峰というところに三島由紀夫の文学碑があった。電源開発工事現場をたびたび訪れて書いた「沈める滝」の駒ヶ岳を描写した部分だそうだ。ダム建設を背景にした建設技師と不感症の女性との愛憎劇で、奥只見ダム等の建設現場を取材して書いたそうである。石碑の一節は深田久弥も眼を見張るような文章になっている。

ここらから魚沼市の一部が見えた。そしていよいよ峠である。

三島由紀夫の文学碑
麓が見える いよいよ峠である



峠は文学碑にもあった駒ヶ岳への登山口になっている。太陽光発電を利用したトイレの横に登山カード提出箱も設置してあった。峠の駐車場には10台以上も車が駐車してあった。平日というのに盛況だ。また峠には枝折峠道路を開削した記念碑が立ててあった。

峠のトイレ
峠(銀山平側) 峠のトイレと駒ヶ岳登山カード提出箱



また峠の道標とともに車道開通石碑があった。碑文を読むと太平洋戦争まっただ中に完成したとある。ダム湖の湖底に沈んだ集落までの道のりらしいから、先の三島由紀夫の小説も成り立ったわけだろうなあ。おかげで私たち自転車乗りも来られるわけで、先人の遺業に感謝である。

峠(上折立側)
峠の石碑 碑文
峠(上折立側)



ここまで来たら、この下にある奥只見ダムが見たいなあ!予定外だけど。重力式の大規模ダムである。峠に来なければ、黒部第四ダムのように麓から長大トンネルでアクセスできる。そこまで戻らないといけないのかと思ったが、そのまま下って。ダム湖の上流、銀山平付近でトンネルの途中に合流できることがわかったので、降りていった。銀山平側も大規模なヘアピンカーブがあり、相当険しかった。

下り
ヘアピン 麓の銀山平が見える



麓に下り、ダム取り付け道路(トンネル)を経由してダムサイトに至る。しかし、スゴいわ。このトンネル。素堀りのようなタッチなのに道幅もある。工事用に作ったらしく、結構速く走れる。

麓のトイレと漁場監視所 三叉路を
対岸に渡り トンネルを潜るとダムサイト



奥只見ダムは堤高157mの重力式ダムで日本第7位。重力式ダムとしては日本一の高さを誇る。発電所の出力は56万kW。日本最大の一般水力発電所である。ダム湖の堪水面積は日本第3位、貯水面積は第2位(第1位は徳山ダム)と日本第一級のダムである。

奥只見ダム 奥只見「旅の駅」ターミナル
奥只見「旅の駅」ターミナル食堂にあった案内図




ダム湖まではモノレールか徒歩で上がる。私ゃ、せっかくの階段なのでトライさせてもらった。さらに上の奥只見電力館まで行って5000歩を達成してしまった(^^ゞ 途中で神社の草刈りをしている人たちがいた。この神社、電力神社という。笑っちゃう。しかもエーデルワイスまであった。スイス原産のものだそうだ。

ダム上方にある電力館と奥只見電力館まで歩いていって見学した。中腹に電源神社があるのには笑ってしまった。なんでも神様になるんだよね(^^;) 映画「ホワイトアウト」のオリジナルは奥只見ダムの話らしい。映画ロケは黒四ダムだったが。

地図 電力館
奥只見湖 電源神社
奥只見電力館 ホワイトアウト解説



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