木曽森林鉄道小川線 (1997.5.11)


木曽森林鉄道小川線の基礎知識
木曽森林鉄道は上松を起点とする森林鉄道の通称で、王滝川沿いのものが最後まで残ったので知名度があります(S50年廃止)。今回走った小川線は上松から木曽川の支流小川に沿って敷設された路線で、木曽森林鉄道で最も古く作られ、早い時期に廃線(S41年)となりました。
ラン&探検編     牛渕橋梁
9:30に開田高原の郷土資料館へ行くランドナーな皆さんと別れ、私は西野川沿いに王滝川合流点までのダウンヒルを楽しみました。釜沼温泉近くには先週見た王滝森林鉄道の橋がレールがないだけで完璧な形で残っています。ここから小川の谷まで行くのに京大天体観測所のある峠を越えます。これが結構な勾配で昨日の筋肉痛の残った身体にはひどくこたえます。休み休み1時間強かけて 11:20に峠に着きました。ここで携帯燃料(メタ)で湯を沸かしコーヒー&パンの昼食タイムをとりました。
 
小中尾停車場跡のスイッチバック   
本日2度目のダウンヒルをこなして、いよいよ小川線跡に突入。貯木場を越えて川を渡ると、道路の橋の隣りに橋台があります。石積みで20mくらいの高さでしょうか?俄然、興が乗ってきます。そしてすぐ小中尾停車場跡のスイッチバックが現れます。赤く塗られた橋梁の腹には「石川島播磨重工業製」の文字が・・・近くに蒸気機関車時代の給水塔も残っておりました。
「五枚修羅」という名前の付いた場所があります。四国の滑床だったか?のように大きな一枚岩の中を川が滝になって流れ落ちており絶景です。感動している間に本線の橋台が4個現れました。そして黒沢へ向かう支線の3個の橋台(牛渕橋梁=写真)も出てきます。対岸の本線側に渡ったところには廃線跡があります。先ほどの4個の橋台に向かっているのです。MTBなら突入するけどランドナーでは行きたくないですねえ。終点の赤沢御料林まで路線跡はきれいな道に変わっています。しかし道ばたを見ると、遺構がありました。レールを溶接したものがガードレールに化けています。
怪しいガードレール   
赤沢御料林には復活した森林鉄道が遊園地のトロッコ列車といった風合いで運行されていました。川に沿って片道2.5kmを50分かけて往復しています。
運行に携わっている職員さんに先ほどのガードレールのことを尋ねてみると電信柱になったものもあるとのこと。残念ながら確認はできませんでした。森林鉄道記念館には各種ディーゼル機関車やボールドウィン型蒸気機関車が展示してありました。しかし私の目を釘付けにしたのは「旧森林鉄道位置図」でした。長野県を中心とした地図なんですが注目した路線は
1.王滝線−末川−月夜沢
2.落合川−神坂峠の途中まで


森林鉄道が開田高原から月夜沢まで伸びていたとは思いませんでした。しかもAコースで断念した北の西野峠との分岐点あたりまで行っているようです。道理であんちゃんさんがダウンヒルの途中、上に平行した道があるよと言っていたのですが、それが何となく線路っぽい感じがしていたのでやはり林鉄だったのかと納得できました。
2.については言うまでもなく旧東山道の神坂峠。近年、温泉が見つかり湯舟沢クアリゾートとして賑わっている谷です。おかしなところで土地の歴史がかいま見られるものだなあと感心してしまいました。
  大沢鉄橋プレート   大沢鉄橋
さて後は下りだけ。
下りの気持ちよさにかまけて遺跡を見落とさないようにしなければ。しかし対岸から林鉄の石垣を見てる分にはいいんだけど実際に行ってみると路線跡は溝が掘れたり落石があったりで舗装部分以外は一人で入っていく気になれません。意を決して行きかけても、ぐちゃぐちゃ路面のお出迎えに会い結局撤退して上松近くの大沢鉄橋へと直行することにしました。
大沢鉄橋はレールははずされて板張りにしてあります。車の通る部分には板が2本付加されて、あたかも「戦場に架ける橋」のようです。木曽川を渡る鬼渕鉄橋までの道は道路拡幅中で通れず、町中を迂回して行きます。新しい橋が稼働し、林鉄の鉄橋には立入禁止のガードが立ててあります。今にも撤去されそうな雰囲気でした。
またJRの脇、上松貯木場を出てすぐの小さな橋梁は残っていました。廃線跡をたどってみると、旧道でも言えることですが、人工のものは人間が手を加えないと、たやすく自然に還ってしまうものだなあと思いました。

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