根来坂峠  822m (2004.5.8)   地図

福井県小浜市上根来(かみねごり)−滋賀県朽木村(くつき)小入谷(おにゅうだに)


小浜市上根来と朽木村小入谷の間にある鯖街道の峠である。

鯖街道という言葉は、古文書にはなく、近年名付けられた名称らしい。では、なぜ「鯖街道」と呼ばれるようになったか。
それは、一塩した鯖を若狭の行商達が、野を越え山を越え、一昼夜かけて、都へ運んだ頃、ちょうどいい塩加減になり、都で珍重されたことから文人たちが使いだしたそうだ。


鯖街道とか若狭街道とか言われるルートは何本もあり、ここ上根来から針畑を南下し、八丁平を通った針畑越えルートもそのひとつである。やはり一番使われたのは小浜から上中町熊川を経て朽木谷に入り、滋賀県の途中を経由する朽木谷ルートらしい。
上根来側の鯖街道入り口



上根来からおにゅう峠への林道を登り始めてすぐ、鯖街道の山道が口を開けていた(上の写真)。旧道も辿ってみたかったけれど、太股を痛めていたし、500mも山道を押し担ぎでは保たないので、林道を上がることにした。でもそのおかげで今でも使用できる?という大きな井戸と祠を見損なってしまった。

林道の中腹に鯖街道が合流して、分岐する地点がある。共有部分は少なかったので、若狭側は殆どオリジナル状態で旧道が残っているようだ。
鯖街道合流点(9:01) 鯖街道合流点(9:06)



実際に鯖街道に入ったのは、もう少し上にある百里ヶ岳登山口の道標のところからだった。山道に入ってすぐ、U字に窪んだ鯖街道に合流した。その窪み具合は見事で、歴史の重みに加え、登山路になっていることが幸いして、残っているのだろう。


百里ヶ岳登山口
(9:50)
鯖街道



鯖街道は林道を右下に見ながら登っていく。先行する登山者のお目当て、百里ヶ岳も左に見えてくる。道は良いので、たまに乗れるところはあっても、結局担ぎが楽(--;)。斜度が落ち着き、何度か斜面をトラバースすると、根来坂峠に出た。

2003年
4月にkeroさん、レオさん、oookaさんがアタックしたときは、滋賀県側、福井県側両方からであった。そのときのレポートを見て以来だから、久しぶりというのだろうなあ。峠には地蔵堂や各種道標が建っていた。地蔵堂の後ろに「大乗妙典一石一字経」なる石碑?があった。日蓮宗の石碑かいなあ?
根来坂峠
根来坂峠(10:11)



百里ヶ岳へ行く登山者と別れ、峠下りにかかる。百里ヶ岳方面からシチクレ峠・百里新道を降りて、小入谷峠へとのルートも考えられたが、人が通る道幅くらいしかないとのことで、単純に鯖街道を辿ることにした。

基本的に尾根筋かと思っていたら、若狭側と同じく峠の前後は斜面のトラバースが続き、結構アップダウンがある。おにゅう峠の林道が下に見えているのになかなか辿り着けない。ようやく尾根道になり、乗れるようになったと思ったら、林道に出られるスイッチバックポイントは間近だった。
峠直下のトラバース道(10:30) 林道に出るポイント(10:37)


もとより日和りまくってるので、林道へ出てから、おにゅう峠で昼飯をとり、後は滋賀県側へ林道を下った。

滋賀県側の林道も展望が凄い。途中で目にする林道の尾根筋道はとても格好良かった。あの辺りが鯖街道の焼尾地蔵になるのだろうか?
尾根筋の道(12:07)



焼尾地蔵の前まで降りると、鯖街道が合流してきた。その後、街道が分岐した様子はないので、その下は林道で破壊?されてしまってるようだ。
焼尾地蔵(12:12) 鯖街道分岐




そのまま林道を麓まで降りる。小入谷の集落は上根来と違い、川の畔にある。

かきつばた群落や、ログハウス風の建物が多く、高原の風情が漂うお洒落な場所だった。しかし鯖街道の痕跡がどこにも見あたらないのは寂しかった。
小入谷(12:26)