奈良駄峠 319m (2007.10.18) 地図

栃木県茂木町(もてぎまち)小貫(おぬき)−茨城県桜川市(旧岩瀬町)山口
栃木県茂木町小貫と茨城県桜川市山口の間にある林道?の峠である。仏ノ山峠のお地蔵さん(を彫った花崗岩)が切り出されたという仏頂山と高峯山との間にこれから行く奈良駄峠がある。

ウェブの検索では自転車による奈良駄峠越えは2件ある。2つとも茨城県側からアプローチし、峠近くの土砂採石場が難所と書いている。よって私は反対側から登ることにした。峠へ到達できれば下りられなくても目的は達せられるからだ(^^;)

おかげで仏ノ山峠と奈良駄峠の関係もハッキリさせられたし、反対側からのアプローチは大正解だった。
県道1号線から奈良駄峠へ行く分岐点(8:04)



県道1号線から分かれ小さな峠を越えて、上小貫の集落まで来ると、奈良駄峠の鞍部が見えた。遠目にもクッキリ窪んで格好いい。集落内の四つ辻で峠方向(仏頂山・高峯山の方向)へ曲がった。

奈良駄峠の鞍部が見えた(8:11) 仏頂山・高峯山方向へ曲がる(8:13)



次の分岐も左の道へ行く。まっすぐの道が林道表示してあったので入ってみたが、違っていた(ー_ー) はじめからジモピーに聞けば良かったのだ。おかげで20分以上ロスしてしまった(>_<) 最終民家の横から道はダートになった。

次の分岐も左へ行く(8:32) 最終民家横から道はダートになる(8:41)



ダートになっても道はダラダラ坂なので乗っていける。急勾配のところも時々あるが、おおむね乗っていける。

なんとかの森看板(8:32) 急勾配のところ(8:54)



かなり登ったところで小崩落地点があった。土が落ち、斜めの大岩だけが道として残った感じで足元が斜めかつ極小になっていた。

小崩落地点(8:58)



ようやく峠らしき明るさを前方に見、欣喜雀躍して登っていくと、なんと廃棄車輌の放置プレイである。しかも峠下だけに何とも許し難い。善意に解釈すればここまでムリムリ来て力尽きたので、ホイールや内装・ナンバープレートだけ回収して放置していったようにも思える。

前方に明るさを見る(8:32) 放置車両は峠下(8:54)



ということで峠である。峠はホレボレするほど見事なV字形をしている。木々の枝葉が積もってしっとりとしたええ雰囲気だ。

V字形の峠(9:08)
奈良駄峠



茨城県側の峠下には「関東ふれあいの道」の道標と案内標識があった。「茂木町上小貫 2.0km」これは今まで来た道だ。「仏頂山頂 1.7km」こちらは峠からすぐ階段になっている。「岩瀬町池亀 2.8km」確かに道はある。これを見れば行けると思うじゃないか・・・・・・。

案内標識(9:12) 関東ふれあいの道の道標
仏頂山頂方向 岩瀬町池亀方向



ところが、この道は草木が繁茂して廃道一歩手前という状態だった。目を横に転ずると、テレテレに削った採石場が広がっている。段々になっているのでこちらもトレッキングはしにくいが、藪漕ぎよりは数段ましだろう。

ということで採石場にエスケープすることにした。しかしこちらもその段々の高度差が4mほどもあるため段の中を横移動しながら下の段へ降りる場所を探すこととなった。降りられる場所があっても下は砂地なので、靴の中は砂まみれになってしまった(~_~)

廃道一歩手前(9:18) 採石場
段の中を横移動しながら(9:21) 降りる場所を探す



そうやってジタバタすること10分やっと道らしき場所までたどり着いた。振り向けば、さほど下ってきてはいない(~_~) 採石場内の砂混じりでブレーキが効きにくい急勾配の道を下っていくと、峠から降りてきたと思われる道との合流点を見つけた。土盛りがしてあって、入り込むには泥だらけになりそうである。急勾配は変わらないものの、ようやく山口の集落が見えてきた。

やっと道らしき場所へ(9:31) さほど下ってない
峠からの道だろう(9:37) 山口・入新田の集落が見えてきた(9:39)



麓まで降りてきて山口・入新田の集落と出会う。行程がデンジャラスなほど人里に出るとホッとする。そのまま下って県道289号と合流した(この間、携帯メールを打っていたので時間がかかっている)

山口・入新田の集落(9:44) 県道289号と合流(9:56)


しかし、ウェブでいろいろ検索していたら、とんでもないことがわかった。ジツはここ奈良駄峠には人車軌道があったのだという。その名は稲田人車軌道長山線。その路線図を参照すると確かに奈良駄峠を通っている。大正9年から昭和27年までの間に開通・撤去されたとある。そういわれればゆったりとした勾配。奈良駄というその名前など軌道跡の条件にピッタリなのかもしれない・・・

あ、長山線は「トンネル二本を掘って」とある。それはそれでトンネルの廃墟がどこかにあるわけで、これまた面白い話である。


※人車軌道とは 稲田駅から稲田地区の各石材産地を結んで、人力により石材の運搬に用いられていた軌道のことをいう。
※奈良 土地をナラす(平らかにする)。この坂はナルい(ゆるやか)のナル。で平地またはゆるやかな傾斜地の意味


鍬柄峠へ