黒瀬峠  75m (2006.10.7) 地図

山口県長門市仙崎船越長門市仙崎黒瀬
山口県長門市仙崎船越と黒瀬の間にある県道283号・青梅道線の峠である。

大日比峠から下り、紫津浦(しつら)の養魚場・海上レストランをすぎ、黒瀬峠に登りかける。

道程から海上レストランを撮影したところ、大日比峠の鞍部が写っていた。こうやって見ると、大日比峠から黒瀬峠へはずっと断層線があるように見えてしまうから不思議だ。
海上レストランごしに大日比峠の鞍部が見えた



青梅島のなかをずっと走ってるのは峠ゲットもさることながら、日本海側には珍しい、くじら資料館があるからだ。その道程、青梅島の海を見ると内湾である仙崎湾や紫津浦は穏やかな海だが、反対側は日本海の荒波に浸食された断崖絶壁や洞門が続く。その険しさから青梅島は海上アルプスと呼ばれているそうだ。峠道から日本海側を見ると、地形の険しさがわかる。
くじら資料館の看板 紫津浦と日本海側



峠付近には長門市上水道第4配水池があった。
峠付近


峠から下り、少し走った通浦(かよいうら)に、くじら資料館がある。地名の由来は漁をしに通ったことから付いた名前だとされている。鯨墓建立300年記念の平成4年(1992)に地元が製作した「ナガス鯨」がある。全長13.5メートルで中に人が乗れるようになっており、船外機で海上を進むことができ、圧縮空気により潮を吹くそうだ。

このナガス鯨は毎年7月21日通浦の「夏祭り」に出番があり、鯨船に乗った「赤褌」姿の若者達が、「ナガス鯨」を求めて勇壮な鯨捕りを再現するという。

くじら資料館 「ナガス鯨」



通浦は江戸時代から明治の終わりまで古式捕鯨で栄えた。しかし藩取り立ての鯨組であった浦人たちは、決して心やすらぐことはなかった。鯨によってもたらされた恵みに深く感謝しながらも、哀れみを抱くという複雑な思いにとらわれていたからである。

哺乳類である母鯨の深い情愛を見て、胸がしめつけられるのだそうだ。また捕獲した母鯨を解体する際に発見される胎児には尋常ならざる思いも抱いたようだ。そのため墓を作って鯨の胎児を葬り、手厚い供養がなされたのである。それが鯨墓(くじらばか)であった。

くじら資料館前の「有情」碑 鯨墓

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