八丁平に魔界を見た

    (2004.4.25)   更新 2004.4.27  地図
八丁平を取り巻く峠のひとつ、オグロ坂峠にて
京都北山にある高層湿原、八丁平。廃村八丁へは学生時代に行ったことがあるが、八丁平へは今まで行ったことがなく、機会があれば行きたいと思っていた。

京都在住のGTさんとお近づきになれて、私がリクエストしたのは、とにかく八丁平。で、今まで2回ネットで企画してもらったのであるが、1回目は息子の入学式でパス。2回目はエントリーしていた前週に私が手の平に大ケガをし、またもやパス。今回は3度目の正直、リベンジマッチなのである。

GTさんがからんだ北山は「京都北山雪遊び」といい、過去2回の八丁平といい、とてもデンジャラスなものだ。今回もその期待を上回るツーリングであった。



コース
花脊、八桝町(やます)−ちしょろ林道−チセロ峠?俵坂峠フノ坂峠−八丁平−オグロ坂峠−八丁平

フジ谷峠−大原尾越町−前坂峠−大原大見町−小野谷峠−花脊八桝町
CAST
CAST 自転車
映像の魔術師、レオナルホドさん リッチー MTB
京都北山ミステリー案内人、ワシはGTさん GT MTB
クラシカルエレガンス、UGの兄♭♭♭さん アルプス・パスハンター
走る人間コアラ、m-kojimaさん BS・ネオコット MTB
私こと ナワ〜ルド@峠おやじ cannondale MTB
※称号は勝手に付けさせて貰いました m(_._)m

本編 

大原から百井、花脊峠と劇坂をこなして、花脊は八桝町の集合場所までアクセスする。しばらく待つうち、ミステリー案内人・GTさん登場。路肩が広くなっているところへ誘導される。

三々五々エントリーしている面々が到着。私とGTさん以外は昨日も八丁林道(廃村八丁の方)を走っている。m-kojimaさんなど、昨日走った後、御室のアイズバイシクルさんまでショッピングに出かけたそうだし、UG兄さんは2日とも八尾からアクセスする脅威のおっさん達である。
集合地点


走る前に八升村の故事を記した石碑がある春日社に参って道中安全を祈念する。しかし、このお参り、GTさんの誘導なんだけど、おかしな事するなあと思った。このお社には大雪災禍のことが書いてあるんだけど、別にわざわざ立ち寄るほどの重要性は感じられなかったんだよね。

八桝橋から、ちしょろ林道に入る。入り口付近の八重桜が美しい。
八重桜


八桝川沿いに林道を詰める。途中に大悲山古道との分岐がある。久多へ行く古道で西行・清盛らが通った道だそうだ。
大悲山古道との分岐


八桝川の谷から離れ、道は劇坂度を増していく。皆アップアップで休憩も多くなる。金剛童子谷歩道との合流点付近を過ぎた辺りで鳩首会談、位置確認をする。
鳩首会談



さあ行こうと走り出すと、トラブル第1弾発生(゚o゚)
「プシュー」
鋭い空気漏れの音。
「あかん、パンクや!」
GTさんだ。タイヤがザックリ大きく切れている。犯人はとがった石らしい。ミステリー案内人のタイヤに食いつくとは・・・先が思いやられる。GTさん、今まで北山の餌食に遭わなかったのに初めての被害である。「昨日加茂屋さんのパンクを笑った罰や」などと反省しきりのGTさん。でもこの程度で済んだのも朝のお参りのおかげかもしれない。

チューブを替え、タイヤの裏からパッチゴムとガムテープを貼って応急修理。少し脹らんでいるが、ポコンとはみ出すほどではない。
ザックリ切れたタイヤ 犯人はこいつや! 応急修理後



「これでリタイヤせなんかも?」
嘆くGTさんを慰め?ながら、全員しばし押しに興じる。ちしょろ尾根古道との合流点まで登ると、峠も近く、みなハイになってくる。

林道最高点で、トラブル第2弾、
UG兄さん、スローパンク。昼食時に本格的に修理するとのことで、空気だけ入れて、済ます。

林道最高点から山道に入り、チセロ峠を目指す。尾根道から見る新緑の山はまぶしいばかりである。
GTさんを慰める図



林道最高点?から山道に入る 新緑の山(東屋より) 尾根道



途中に東屋とかあったが、何だかわからないうちに最高点に到達。勝手にチセロ峠と判断したが、どうも間違っていたようだ(ToT)

ここでトラブル第3弾。
「あっ、ウエストバッグ置いてきてもうた!」
レオさん、先ほどの東屋にウエストバッグを置いてきてしまったらしい。自転車で行くのも邪魔くさいと徒歩で取りに行くかれる。過去忘れ物をした都度、体調を崩したレオさんのことだから心配したが、杞憂だった。再び現れたレオさんは絶好調だった。
最高点でおどける私


最高点から尾根道のシングルトラックを楽しみ、ナメラ尾根歩道?へ出た。

そこから注意しながら走ったが、俵坂峠へのアクセス路が発見できず、大原尾越町から来る舗装道との合流点近くで、古い峠道に出会った。そこで遅い昼食をとった。昼食の間にUG兄さん、パンク修理をする。
好対照パンク修理するUG兄さんと飯を食うGTさん



トラブル第4弾。
目の前の分岐を5分も登ると俵坂峠らしい。昼食を食べ終え、峠の虫がムズムズと騒ぎだした・・・担いでも往復するとの私の宣言にGTさんだけ応じてくれた。

しかし、その道は崩れかけていて、草が繁茂し、限りなく廃に近い状態だった。おまけにチョー劇坂なので、ほんま泣きそう。何度か止めますよ宣言したもののGTさんの励ましで何とか峠に登りついた。20分もたっていた。地図表示と全然ちゃうやん。おまけに峠の向こう側には別の林道まで見えてる(ToT)

帰りはどうしよう?GTさんの誘導で尾根を登って下ると、元のナメラ尾根歩道へ戻れた。現在のアクセス道への分岐点表示は切り通しの上にあったから見落としたようだ。
俵坂峠


昼食地点にあった標識 俵坂峠 切り通しの上へ降りてきた


さあて、えらいアルバイトで皆を30分近く待たせてしまった。本来の目的地八丁平へ行かなくては。再スタートは13時15分。舗装道へ出て、フジ谷峠への分岐を後目に登る。ここでm-kojimaさんまで「スローパンク」宣言。「気のせいちゃう?」でおしまい。

林道久多尾越線の途中からフノ坂峠へ登る。少しの担ぎで到達する。
フノ坂峠への分岐点


フノ坂峠 フノ坂峠


フノ坂峠から八丁平へは至福のダウンヒル
と言いたいところだが、ここでトラブル第5弾。

「バリバリ」
UG兄さんの高級パスハンに衝撃が走る。落ちてる枝を巻き上げ、泥除けにつかえてしまったのだ。しかもこの泥除け、プラスチック製だったのでたまらない。哀れ、泥除けには亀裂が走り、修復不能となってしまった。第1次八丁平探検隊のときもUG兄さんはアルミガードを逝わしている。そのリベンジに燃えていたUG兄さん、思わぬ返り討ちに遭い、たまらず泣き崩れる。

やっぱパスハンはこういうことがあるからガードなしなんだろうな。期せずして、UG兄さん・m-kojimaさん・私、3者の意見が一致した。
泣き崩れるUG兄さん


八丁平のなかをオグロ坂峠へと向かう。所々に設けられた木道も乗れるし気持ちいい。高層湿原の八丁平を取り巻く峠は多いが、八丁平からはどこもすぐに到達できる。
レオさんの華麗なテクニック


オグロ坂峠へ向かう道は木漏れ日が美しい緩い登りだった。峠のお地蔵さんに峠の木柱、芽吹き始めたブナなど、どれも柔らかく優しく我々を包んでくれた。

過去2度の八丁平探検隊で辛酸をなめ尽くしているUG兄さん、本日も散々な返り討ちに遭い、峠のお地蔵さんに、ひざまずき許しを請うのであった。
峠のお地蔵さんに許しを請う


当初予定はオグロ坂峠から久多へ降り、久多峠を越えて、花脊へ戻る予定であったが、ここで14時半では久多峠は辛いということで、大見へ戻り、小野谷峠から花脊へ戻ることにした。

八丁平へ戻り、フジ谷峠を経由して、尾越へ向かう。フジ谷峠は横に林道ができてしまっていて、感慨が薄いが、かつては鯖街道であったらしい。
奥にあるのがフジ谷峠


林道を下っていくと、フジ谷峠の旧道分岐があった。さらに下ると、ログハウスやトイレなどの先に林道ゲートが現れた。尾越(おごせ)である。高校の同級生の情報によると、この辺りは京都女子大所有の森林で「京女の森」というんだそうだ。
林道ゲート


林道ゲートをクリア、尾越の小集落を過ぎ、前坂峠を登る。皆かなり疲労の色が濃くなっている。
前坂峠


大見の集落から西へ向かい、小野谷峠を降りるコースは、スタート地点までは下りだからというGTさんの触れ込みだった。私も学生時代に通っているらしいが、小野谷峠のことは記憶が翔んでしまっている。

峠へ行く途中、川を渡る。渡河作戦は数々のドラマを生む。最後尾のレオさん、バランスを崩し、川の餌食になりかける(^^;) しかし、ミスコースとわかり、渡河した川を渡り返す羽目となる(~_~)
レオさん、危うし!


この峠、安曇川源流部、大見側の高層湿原に桂川の支流、小野谷が食い込んでいく片峠地形になっている。そのため大見からはあまり登らないが、小野谷は急傾斜になっている。

で、下りばかりと思って突入したわけだが、ちと甘かった。峠道はかなり下まで山道のまま。しかも崩壊しまくっている。所々にある丸木橋も腐敗が進み、耐久性に問題あるものばかり。私が渡れたから大丈夫と思っていたら、後ろで
「バキッ!」「ギャーッ」
慌てて駆けつけると、腐った丸木橋の餌食になったのはm-kojimaさんであった。幸い少し落ちただけで済んだのだが、自転車が頭から降ってきたそうである。

そうこうするうち、わさびの研究施設だか何だかわからない廃施設のところで、やっと林道に出られた。
小野谷峠の下り



ほっと一息のm-kojimaさん、腹部にクッキリとキスマークが・・・北山の魔物に噛みつかれたんですな(~_~)
ガードを逝わしたUG兄さん、あらら、穴が開いてまっせ(゚o゚)

もう少し下に降りた地点にあった看板には
「ハイカーのみなさん、小野谷峠経由(大見・尾越方面)こちらです」
と書いてある。あの整備状況でこんな看板出すのん?
「ええかげんにせいや」
キスマーク 逝わしたガード おとぼけ看板



国道まで降りて、大布施の農協で自販機休憩。いろいろ今日の反省をする。私は
「1.俵坂峠にアタックしたために時間を浪費したこと
 2.切れもしない鉈を持っていって顰蹙を買ったこと」
くらいか?まあ、無事なうちだ(^^;)

すると隣の駐在所からパトカーがスタートしていった。警らにでも行ったのか?車を停めてあった所へ行ってみると、さっきのパトがいる。嫌な予感。
「こんなとこ置いたら困るやないか!今日ら農協の駐車場置いてくれやいいのに。ここら田舎やし『サイクリングに行ってます』くらい書いといてくれれば良かったのに」
だって。駐車違反にはならなかったものの、気を付けたい駐車スペースだった。


確かにこれだけ事が起こると、北山には魔物が住んでいると思いたくもなる。でもそれ以上に楽しい山行きだった。これに懲りずに、また皆さん、遊んでくださいね。
危うく駐車違反に・・・




ホームページ | TOURING REPORT