深坂越(ふかさかごえ) 370m (2001.11.17) コレクションNo.817 地図

福井県敦賀市深坂−滋賀県伊香郡西浅井町沓掛

古代における越前・近江国境越えの道のひとつで琵琶湖北部の旧港、塩津浜から敦賀へ抜ける塩津街道の旧道峠である。

国道8号線から161号線に入ってすぐ、新疋田駅を過ぎた所に深坂古道の標識があるのでそこから深坂の集落へ入る。

              追分にある標識
集落を抜けて山道に入る所に深坂古道の説明板がある。
『古代における越前・近江国境越えの道は、愛発(あらち)山越えで海津につなぐものと塩津山越え(深坂越え)で塩津に出て、水路で大津に向かうものとがあった。後者は敦賀市追分から滋賀県西浅井町沓掛に至る約4.5kmの古道で標高は約370m。深坂越えの初見は万葉集・・・』
道は苔むして良く踏みしめられ、苔寺の境内に遊ぶかのような雰囲気である。
沢沿いにゆったりと登っていくため自転車に乗って乗れないことはないが、車輪がとられそうな丸太橋があるらしいのでSPDではなくパワーグリップを装備してきた。その結果、私としては珍しく歩きを楽しんでしまった。
道は期待に違わず荷下ろし石が散在し、紫式部や笠朝臣金村(かさのあそみかなむら)が詠んだ歌の説明板が所々に出現するので知的嗜好も満足させられる。
歌の説明板を過ぎたあたりから勾配がゆるくなり、峠の平坦部にさしかかる。峠には「深坂峠あれこれ」と中部北陸自然歩道の案内板があった。しかし峠は明確な切り通しにはなってないので、ちょっと場違いな感じがする。

滋賀県側から林道が始まっているが、自然歩道(めちゃめちゃ荒れている)へ折れて少し下がったところに深坂地蔵のお堂や休息所、トイレなどがある。
         峠風景
平清盛の命を受けて平重盛が琵琶湖と敦賀を結ぶ運河を計画し、ここで試掘をしたところ、巨石に阻まれ工事を中止することになった。それが地蔵の姿をしていたのが深坂地蔵の始まりという。

清掃の日なのか5・6人の男女が掃除をしていた。挨拶をして深坂地蔵に詣でた。塩漬けは禁止になったのか綺麗なものだった。
           深坂地蔵
深坂地蔵からの道はとびとびの石段になった。ガードを破損しかねない微妙な高さであるため、乗ったり下りたりしながら下った。そのまま下れば沓掛の集落であるはずだ。しかし国道8号線へバイパスする新道?があった。こちらに向かうと深坂道を衰微させた国道8号線の新道野峠直下に出られる。
     深坂地蔵へのアクセス路
新道?から国道に合流する地点には「深坂地蔵 1.1km」の看板が出ていた。そのとき急に雨が降ってきた。午後から時雨の予報である。早々に雨具を着け新道野峠経由で車を回収に向かった。